いろいろ

読んだ本の感想とか。男と男の膨大感情が好き。

「K先生シリーズ」

 

読書感想文、ちゃんと書こうと思うのですが気合が要るのでなかなか難しい…

色々読んでいるのでもっとちゃんと書いていきたい…いうだけはタダ

最近は十二国記ばっかり読み返しています

白銀の感想もちゃんと書きたいな

白銀、発売してから一度読んで、ちょいちょいいろんな場面を読み返すのはしてたんですが、あまりにも自分の中で受け止めきれず…

最近やっと落とし込めたというか…落ち着いてきたので腰を据えて再読しています

本当に…短編集も出るし、いきててよかったな

 

 

  

昨日なんとなく買って一気読みしたんですが、あまりにもツボで滾った「K先生シリーズ」の感想を書こうと思います

K先生の野獣な愛情 (花音コミックス)

K先生の野獣な愛情 (花音コミックス)

 

全5巻で、

K先生の野獣な愛情 (花音コミックス)

K先生の野蛮な恋愛 (花音コミックス)

K先生の不埒な純愛(特装版) (花音コミックス)

K先生の秘密の熱情 (花音コミックス)

K先生の恋愛な日常 (花音コミックス)

順番は

『野獣→野蛮→不埒→秘密→恋愛』

または

『愛情→恋愛→純愛→熱情→日常』

です。逆にややこしいな…

 

犬恋シリーズ」という本編シリーズがあって、このシリーズはスピンオフなのですが本編知らなくても読めます

私はこれだけで読みました

何を隠そう私は本編よりもスピンオフにドハマってしまう女

スピンオフというだけで人生大体大当たり

…ですが本編シリーズも読むと楽しさは倍増です

 

カップリングとしては

「官能小説家の美形俺様攻め」×「担当編集の強がり眼鏡受け」

ですかね…超王道です

BLって官能小説家いっぱい出てくるね 

 

このカップリングが好きな方は犬恋本編のふたりはハマらない傾向が多いかもしれませんが、本編最終巻の

犬も秘密の恋をする (花音コミックス)

 の最後にこのスピンオフのスピンオフ的な短編が載っていて、これはかなり本編だったのでこれだけでも読むことをおすすめします

犬恋本編には小早川(受け)は出てきますが、カップリングの二人は出てこないので二人のために無理に回収する必要はないかなーと思います

 私はK先生も犬恋も全巻読んだ後にこのスピンオフを浴びたんですが、読み始める前に読むか、読み始めた後に読むかでかなり印象が変わると思います…

ですが多分どちらで読んでもイイ…!です!

 

夏水先生の漫画ははじめて読んだのですが、めっちゃ絵がうまい…

絵がうまい情事シーンは最高…

そして漫画がめちゃくちゃうまい!です!

話の作り方がとっても好きでした…

絵柄が花音って感じの絵柄で良いです…伝わりますかね…こう…花音っぽい…

 

情事シーンってモノローグでどちらかの心情が乗りがちだと思うんですけど、これはモノローグが乗らなくてひたすら絵だけで進みます

それがとっても良い

それって絵が上手くなくちゃ進まないじゃないですか…

つまりとっても…うまくて余韻がすごくて私はとっっっても好きです

あと私はBL漫画情事シーンの唾液の描かれ方がとてもフェチな人なんですけど、唾液が最高でした!

エロ多め?というか多くは無いけど濃くてうまいのかな…割と朝チュンな感じも多かったです

ですが満足感はめっちゃあります

 

漫画のつくりも、攻めが俺様傾向なのであまり言葉が多くないんですけど、台詞が的確(?)ですごく雰囲気がありました

大事なところで考えさせてくる台詞がばしっと書かれているというか…ウオ~~!ってなりますね

語彙力がない

全体的に、台詞を書きすぎていないのでこちらの余韻がすごくて…

でも書きすぎていないのに言いたいことや描きたいことは全部伝わってきて…とにかくうまい…

それがとても…とても好きでした…

 

そして、鍛冶(攻め)が小早川(受け)をどうして好きなのか、BLで一番大事なところなんですけど、この漫画はそれが明かされないまま結構話が進みます

まさか描かれないのか!?と思いながら読み進めてたんですが、最終的には分かるんですが、この書かれ方も、まためっちゃうまいんですよ……文学的です…

書きすぎてなくて…しかも本編全部通してきて「あ~~~~~!」ってなる…

もう一度読み返すと伏線というか、繋がる部分がたくさん書かれてて、漫画うめえ…と感動しました

 

「付き合う」「付き合わない」の話というより、隣にいるかいないか、みたいな、人としての話の比重が多かったのも良かった

 

CP的には、小早川がツンデレ?ではないけどイヤイヤが多いというか…

素直になれない系受けなので、情事中の受けの「いや…」(もっとの意)が好きな方はたまらねえと思います

攻めはそこをガンガン突破してくる感じ(ムリヤリって意味じゃない)(愛はある)

受けのいや…(もっと…)、たまらないよね~~

 

ふたりの関係、とっても丁寧に書かれていて、でも書かれすぎていなくて、本当によかったです

エロもエロくて最高です(大事なところ) 

久しぶりにヒットしたシリーズでした…

たった5巻しかないのにもっと読んだような気になったし、感慨深かった…

 

 

 

以下読んでる前提の感想です

ネタバレ含みます

 

 

1巻は挿入に至るまで、の巻です

 初…挿入シーン…エロくてめっちゃよかったな

鍛冶が小早川のこと大事にしてる行為が描かれてて…

まあ、舐めてるシーンめっちゃエロいって話なんだけど…

鍛冶、やっと挿入までこぎつけてよかったね…

ちゃんと挿入まで段階踏んでてフフ…となりました

鍛冶くん、中身は優しいし小早川のこと大好きで良い

受けにだけ心を預けている孤高の攻めは普通に萌え

 

2巻は「勘違いとシチュエーション・ホテルの部屋」ですね

ドアに背を預けての情事、どこで何回見ても興奮する

犬恋の人たちが出てくる短編が入ってます

この巻、背中ドア2回もあるな!?やったー!

 

 

3巻は「スキャンダルと愛の逃避行」です

小早川からのキスせがんでふざけんなっていうとこが好きでした

小早川もちゃんとしっかりやり直すからわ、わかってる…ってなった

こういうとこは大人なのめっちゃいい

逃避行…鍛冶が小早川の部屋の本棚の撫でるシーン…よかったよね…

布団の中の会話も好きでした

「あとで食う」「起きてから」「はい先生」

のとこの余韻…はんぱない…静かで…とっても好き…余計なモノローグがなくて…

あと「ほんとは妬きました」のとこで鍛冶の髪の毛ひっぱる描写がめっちゃいいです

分かり描写すぎる

 

4巻はみんなだいすき「攻めの嫉妬と繋ぐという言葉」ですね

私は!!この!!

「昭ちゃん(当て馬的人物)に背中を預けてキスを見せつける」というシチュエーションが!!

めちゃくちゃ!!興奮して!!刺さる!!

いままで生きてきて結構BLを読んできましたが、もうほんとにはんぱなくいちばん興奮したキスシチュエーションでした

そもそも攻めの嫉妬みたいなの大好きなので、もうほんとに興奮したんですよ

昭ちゃんは可哀想だけど、ちょっとエロ過ぎてたいへんだった

このキスの後の情事シーンは熱量ハンパなかったです

喘ぎくらいしか日本語無かったけど、それがめっちゃエロかった

「覚悟見せろよ」、ハチャメチャ良かったな~~~うう…

あと繋ぐ繋がれるという概念も、大好きなので…

実際繋ぐわけじゃないけど、「間違ってるとわかってようが」ってのがめっちゃ…はあ…

分別はちゃんとある、間違ってるとわかってる、けど実行する力のある攻め、好きだ…安心できる…

「イヤなら俺を手放すな」、最高だった

そのあとの「キスしてください」もたまんねーな

私はこの巻がいちばん好きです

 

5巻は「南の海と攻めの過去」ですね

攻めの重い過去!わ~い!

夜這い(語弊)のシーンにもあるんですけど、口に親指入れるやつめっちゃエロくて好きなんですが、K先生シリーズはそれがいっぱいあって良かった…

あと誕生日のファンレター、これもラストであんな形で繋がってくるのうますぎて興奮しました…

鍛冶の過去もうまく書かれてて、全部は書かれてないけど台詞と細切れのシーンだけで大体察せて、そこも描かれすぎてなくてめっちゃ良かったです

「隆生はよくやった、君を連れてきた」って言葉、良かったな…

鍛冶はもう落ち着いてる攻めで、最後まで大人というか傲慢だったので攻めに対する夢が守られました

傲慢だけど受けより愛が重くて、受けに救われる攻め、好きだ…絶対的だ…

最初はあんなに素直になれなかった小早川くんが、5巻通して鍛冶の隣に落ち着いていくのが流れるようでほんとうに良かったです

 

 

 

あとちょこちょこ入ってる擬人化、ヤバみが溢れててとっても好きでした

名作劇場たちも…

小さい課長のやつは、何も知らないのにいきなり普通に続きで載ってるから普通にヤバいと思ったよ(いい意味で)

 

 

 

 

「アンティミテ」

 

 

アンティミテ (ディアプラス文庫)

アンティミテ (ディアプラス文庫)

 

 

 

「アンティミテ」読みました。

久しぶりのミチ先生の新刊…!今回もめちゃくちゃ良かったです。

ミチ先生の地の文が大好きだ〜。

静かで息をつめた勢いがあって、でもあつくて、言葉に乗せると句読点が無い喋りというイメージ。

言葉選びは繊細で…とにかく好きだ。

 

 

ひつじの鍵 (ディアプラス文庫)

ひつじの鍵 (ディアプラス文庫)

 

「ひつじの鍵」に出てきてた和楽くんのお話、以前刊行された「ひつじの鍵」のスピンオフです。

スピンオフですが、これだけで全然読めます。

 

以下はネタバレしてます。

 

絵について、「書く」人と「売る」人の物語でした。

才能と、才能に値段をつけて売る人。

和楽くんはギャラリストで、仕事で行った高校の踊り場で1対の絵に出会って、その絵に魅入られて話が展開していきます。

その絵の作者、群は美大に行くわけでもなく仕事しながら趣味程度に1人でぽつぽつ絵を描いていて、そこを和楽くんに見つかる…いや和楽くんの情熱と執念というか運命というか…とにかく見つけてしまったという。

そして郡はとんでもない才能の持ち主という。

 

まず、至るところに名作の絵が出てきてとても楽しいです。

小説で絵の事読むのって不思議な気分になりますね。

絵の説明、というのは何というか…絵の本質みたいな所の正反対を行っている気がするのですが、和楽くんもきっとこういう微妙な気持ちを抱えて仕事してるのかな〜と思います。

好きで、すごくすごく好きで、きっと絵って感じるものなのに言葉で説明する、ことを得意とする矛盾というか…

でも説明という表現が和楽くんの本質、特徴というか…彼らしい所だとも思います。
モネの睡蓮、葛飾北斎モナリザ、落穂拾い、星月夜……知ってる絵から知らない絵までたくさん。

読みながら、どんな絵なのかな〜って検索すると言ってる事がわかって楽しいし、知ってる絵だとまたわかる!ってなって楽しい。

 

そしてタイトルにもなっている、ヴァロットンの「アンティミテ」。

私、恥ずかしながらこの絵…というか版画のことは知らなくて読み終わって検索してみたんですが、すごく……何というか、「やらしい」かったです。

アンティミテ、は「親密さ」の意。

群いわく、この連作を寝室に飾ってる人間、「大人って感じ」がしすぎる……和楽くん…

黒と白だけなのがまた、シンプルでコントラストが効いてて、それでテーマがどんと効く感じで…

私もこの版画、黒の空間の使い方がものすごく好きです。

そこにそんな黒を置くのか…と興奮した。

男と男の話なのに、男と女のいろんな「やらしい」を題材にしたテーマの連作、と同じタイトルにするなんて……やらしいな〜!

でも『アンティミテ』、連作それぞれのタイトルを見るとなんとなくこの本と合っているな〜と思います。

読んだ方はぜひ検索してほしいな。

 

『アンティミテ』含め、「ナビ派」と呼ばれる派らしいです。絵は好きなので気になって、ちょっとだけ調べてみました。

「見えるまま」、見えた景色の色や風景をキャンバスに忠実に再現するのではなく、赤く見えたと思ったら赤く塗る、青く見えたと思ったら青く塗る、というように、「作者が感じたまま」を表現した派らしい。

日常のひとコマ、みたいなシーンの絵が多いのに、ベタ塗りで明らかに現実世界ではない、「絵」でしかない世界の絵…が多い。ちょっと調べただけですが。

と同時に「目には見えないもの」…神秘性というか、神様的というか…ちょっと精神世界みたいな所があったりして、この日常感とのコントラストがすごく不安で不気味になる絵達の派だな…と思います。

 

「『見えるまま』って『分かる』ことから縛られない意味」「赤ん坊がこの世を見た時の景色」、と群が作中で言っていたのですが、まさにこれだな〜と思いました。

「『見えるまま』だけが本物じゃない」、「『見えるままも』十人十色」…見えるままを切り取って名前をつけていくことも美しい1つですが、「なんかすげえ」みたいな感情もまた美しいことの1つですよね。

上はふたりの会話の一部なのですが、才能で描いてるタイプ群、の絵に対するスタンス、みたいなものが、和楽くんの言葉によって表現されていっていてとても素敵でした。

絵を通じてふたりのアンティミテがどんどん近くなっていって。

なんかちょっと硬い和楽くんと柔らかい群が、絵という共通点を通じて親密さを増していくの、とってもとっても良い……

 

羊くんが出てきたのも良かった。

魔法使いさんと相変わらずみたいで安心しました。

 

群は和楽くんに対して自分なりの「アンティミテ」、を描いたんですが、まあその絵は色々あって和楽くんの手元には無くなってしまって。

でももっといいアンティミテを描くしかないと思った、っていうのがめちゃくちゃ良いです。

ふたりの親密さは限りなく近くなっていって、でも完全にくっついてしまうわけじゃなくて、限りなく、アンティミテを描くたびに近さが更新されていくのが素晴らしいな…。

 

絵って、結局はその人の好みだと思うんですけど、和楽くんに刺さってしまったんだよな、郡(の絵)が…

才能に惚れてしまう事って、その人に惚れてしまう事と同意義だと思います。
群だから群の絵で、だから和楽くんに刺さって、どのピースが欠けてもふたりのアンティミテにはなり得ない、男と男…

群の才能の全てをもって和楽くんに近づいていく、それ以外の方法でなく、絵という方法で、絵でないと駄目で…

二人なりのアンティミテを描きながら、永遠に更新しながら限りなく近づいて、なりに行ってほしいなと思います。

ふたりのアンティミテに。

 

ペーパー、小話、同人の新刊の「群青」、ひととおり浴びたのですがとても良かった…

群青、群が最初に描いた「アンティミテ」を見に行くのですがめちゃくちゃオシャレで……よい……(語彙力が無い)

絵はねえ、良いですよねえ。

描くにも見るにも全部己との戦いと対話って感じで、自由で辛くて楽しくて、昔の人も絵を描いてたんだな〜と思うと不思議な感じがします。

 

読んだ本たくさんあるのに全然感想かけてない。

最近はVIPシリーズやブルーサウンドシリーズを読んで、ハチャメチャに良かった。
あと最近のカジノ誘致の話を見て、ノーモアベットじゃん!と興奮しています。

 

 

「清澗寺家シリーズ」

暑すぎる…五月なのに…しんでしまう……

 

今までいろいろBL小説を読んできたのですが、最近清澗寺家シリーズの存在を知りました。

そして、今までどうして知らなかったのか…と本当に驚きました。

とっっっっても面白くて…。

シリーズ全巻13冊、2週間程で一気読みしてしまいました。

もう本当にさいこうで…最高でした…。

なので感想を記そうと思います。

 

 

清澗寺家シリーズは和泉桂先生の著で、完結済のシリーズです。

大正~昭和初期を舞台に第一部8冊、第2部5冊の計13冊。

清澗寺家という華族の一族のお話です。

ドラマCDも出ていて、このドラマCDのキャスティングがまた「覇権」って感じで最高です。

 

 

まずボリューム!

リンクスロマンスから発行されているんですが、どの巻も新書サイズ2段組み250p越えでボリュームが満点です。

読み応えがすごい。これだけでまずテンションが上がります。

新書サイズ2段組み小説、大好き。

 

そして時代設定。

大正~昭和初期の、濃厚な日本が舞台で…

華族とか子爵とか、そういうのが好きな私にはたまらなかったです。

この頃の混沌とした日本が本当に好きなので…。

清澗寺家シリーズは冊数と共に時代も一緒に進んでいくので、2週間で大正~昭和初期を駆け抜けました。

 

 

どのカップリングも本当に全部好きだったのですが、やっぱり特に和貴×深沢と伏見×冬貴はすごかった…すごかったですね…。

こんな関係言葉にできるんだ…と、本当に感動しました…。

情事シーンも濃厚で、というか全体的にずっとエロいです。

ハッピー!ラブラブ!ではないので、明るいのが好きな方にはあまりハマらないかもしれませんが、暗くてドロドロしてて、退廃的なのが好きな方にはたまらないと思います。

本当に大河ドラマです。

 

 

以下は発刊順に並んでいます。

個人的には発刊順に1から順番に読むのをおすすめします。

 

 

 

 1巻、真面目で穏やかな使用人・遼一郎×清澗寺家長男・国貴。

国貴は長男で、エリート軍人でもあります。

2人は小さい頃から身分がありながらも仲良く遊んだりしていたのですが、ある事故で引き離されてしまって。

忠誠心と恋心の狭間、埋められない身分、お互いの立場、行き場のない気持ち、そして駆け落ち…

全部大好きな単語で構成されている一冊…

プライドと長男という立場から逃れられない国貴と、それを包み込むような遼一郎…。

優秀で美麗な華族の軍人の唯一の弱みが愛した男なの、たまらなくないですか?

真面目だったのに思い切った大胆なことする長男、「わかり」でした。

真面目な長男ってそういうとこあるよね。(そうなの?)

 

 

 2巻、温厚(…)な秘書の深沢×清澗寺家次男・和貴。

この二人はほんと~~にすごいです。

支配と被支配の究極と真髄を、見れます…。

特に和貴は、脆くて儚くて繊細で、ギリギリの均衡でこの世に繋ぎ止められている、美しくてものすごい存在で…。

ただの淫乱じゃん…って思う方も居ると思うんですが、私はそうは思わなかったです。

深沢君に支配されることによってこの世に繋ぎ止められていて、それをプライドは許さなくて否定しながらも受け入れて喜んでいて、でも愛されると今度は嫌われてしまう事が怖くなって、愛されても愛されても足りない、寂しい存在なんですよね…。

深沢君もそんな和貴を愛していて…愛すと愛されるが歪んでいる2人……

でもそんな二人が支配と被支配で成り立ってこの世で生きようとするのが、とっても美しいです。

 

 

3巻、 貴族のクラウディオ×清澗寺家三男・道貴。

作者さんも言っていたのですが、このシリーズの「陽」カップルです。

クラウディオは清澗寺家に恨みというか…因縁があるんですけど…一族と一族の因縁…それを乗り越えた愛…です。

冒頭のダンスシーン、おとぎ話の王子と姫か?って感じでした。

道貴くんは明るくてでも頭もよくてちゃんと考えてて、ほんとうに良い子だな~!

基本的には明るいというか平和(平和?)な二人でほっこりします。

クラウディオのキャスティングが諏…部なのを見てから、彼のセリフが諏…部でしか再生されなくて面白くて大変だった。

諏…部の横文字はわかる…でしかない。

 

 

4巻、政界の裏で活躍する、冬貴に魅入られた伏見× 清澗寺家当主・冬貴。

この二人もほんと~~~に……すごい…

冬貴は当主のくせにとにかく淫乱で、男女誰彼かまわず寝る男で、口数も少なくて何を考えているのかわからない絶世の魔性の美貌男です。

伏見はそんな冬貴に出会って、魅入って魅入られてしまって、冬貴に翻弄されて、でも切ることは無くずっとずっと……

冬貴がまた…言葉にしないけど伏見の事を想ってるのが本当に良くて…

冬貴にとって唯一「あたたかい」存在の伏見…

微妙で、微妙で繊細すぎる関係で、冬貴が誰彼かまわず寝るのとか、伏見の1人で考えすぎて苦悩する所とか、ダメな人も多いと思うんですが、理解できる脳みそで本当に良かったと感謝しました。

 

 

 5巻、陸軍軍人の浅野×妓楼を経営する天佑。

浅野は1巻で登場して、国貴を追う存在の軍人です。

一方天佑は何か秘密がありそうな、強気で美人な、ちゃんと男として美しい男。

上海が舞台で、中華が舞台な苛烈な男と男!が好きな人にはたまらないな~と思います。

全部言葉にすることが美しい訳ではない、というか…

言葉にしなくても目と目で語り合う関係というか…

男と男、ですね…

番外編的な内容なので、読み飛ばしてもまあ問題ないかな?と思います。

 

 

 6巻&7巻、上下で一部の完結編。

上では和貴と深沢、伏見と冬貴が読めます。

和貴と深沢の…海辺の…シーンが…お互いに生きる理由を見つける男と男…最高。

あとプレイがすごい…いつも濃厚なのが見れます。

伏見と冬貴も、冬貴の賢い所が見れて最高です。

伏見が駆け付けたシーンの冬貴、さぞ凄絶な美しさだったんだろうな…

後この二人、キャストが遊佐×神谷なんですけど、調べれば調べるほど「とにかくエロすぎてヤバい」という感想しか出てこなくてすごい。

 

下は国貴×遼一郎とクラウディオ×道貴が見れます。

国貴くん…本当に良かった…(泣)になった。

愛を取って一生追いかけられる立場になるの、幸せだけど消耗するんだろうなあ…

この二人は本当に…一途で不憫です…でも代償なんだよね、2人で居る事への…

道貴くんもいろいろと悩みながら、日本人という人種の差に苦悩しながら成長している姿が見られて、涙です。

戦争で自国が敵になるかもしれないとわかっても、愛する人と外の国で生きる覚悟をしたんだなあ…

国貴をずっと探して…本当にまっすぐでいい子だ…

4カップルみんな見れて、満足感がすごいです。

 

 

 8巻、美貌の医師の貴将×君主の暁成。

清澗寺家のルーツのお話。

番外編なので飛ばしても大丈夫です。

個人的に平安が好きなので、それだけで楽しかった…

清澗寺の呪いというか、一族の謎というか、根底の部分を知れます。

 

 

 

9巻&10巻、時代が和貴の養子の2人にうつります。

双子の弘貴と泰貴、それぞれ闇市で活躍する曽我×弘貴と、家庭教師の帝大生藤代×泰貴。

2つのカップリングが同時進行するので、読み足りなかった感もありますが…

和貴とかも出てくるので、みんなの様子もわかって楽しいです。

弘貴は、もう家を終わらせたいと願っている和貴が己の「こうなってはいけない」という戒めをもとに、理想を存分に反映させてしまった存在で…なのに皮肉にも、とても清澗寺に育ってしまって…

イイ子な弘貴くんと曽我の2人はこの一族の中でも珍しくめちゃくちゃぴゅあぴゅあカップルかなと思います。

ていうか他が濃すぎるんだわ…

泰貴は清澗寺で育たなかった子で、スれてて自分を何でもできると思い込んでいる子供で、見ててちょっと恥ずかしくなっちゃうような生意気な子です。

藤城くんに教育(意味深)されていくんですが。

この二人も雰囲気は調教っぽいけど、めっちゃピュアな2人だな~と思います。

和貴の子育ても垣間見れます。

 

 

 11巻、ロシアの血を引く黒田親子×和貴の養子、清澗寺家長男・貴郁。

これだけでも読める!って書かれているけど、私は順番に読んじゃったのでこれだけで読めるか…?になってしまった…。

貴郁くんは一人だけ養子なんですけど、上2冊では詳しく語られず謎な存在だったのでこの巻で色々判明してほお~となりました。

和貴は本当に罪な男なんですよね…。

貴郁はメンタル的な部分ではとっても和貴に似てるんじゃないでしょうか。

血という意味では双子より清澗寺が濃いってことですもんね…。

彼なりに幸せな場所を見つけて良かったと思います。

私、親子とか3pあんまり得意じゃないんだど、何とか読めました!

といか圧倒的文章力で読ませてくれました。

 

 

 12巻&13巻、最終巻。

一部で出てきたみんなのその後が読めます。

まず表紙が美しすぎる…そして下の口絵が好きすぎる…。

特に和貴編がね、エロすぎてびっくりしてしまいますね。

本を読み始める時、なんとなくパラパラ見ておいてどんな内容か確認しておくんですけど、我慢できなくて先を読んでしまいました。

強い(強がってる)男が、死にそうに消耗してしまうの大好きなので……

時代が進んで、国貴とかも本当に……本当に良かった……

もう本当に大河ドラマで…

ここまで読んできて満足しかない…終わってほしくない…と泣きながら読みました…

 

 

本当に本当に読ませてくれるシリーズで、時代、雰囲気、作風、全部全部マッチして、本当に素晴らしかったです…

どうして今まで出会わなかった…?と同時に、出会って…しまった…という気持ち…

一冊読むごとに男と男・膨大感情偏差値が1億くらいずつ上がっていって、最終的に13億上がりましたからね。

本当に出会えてよかったです!

 

 

「過敏症」「夏の子供」

 

 

 

夏の子供 魚住くんシリーズ (5) (角川文庫)

夏の子供 魚住くんシリーズ (5) (角川文庫)

 

 

ちょっと前にですがやっと4を手に入れて読破しました~!魚住くんシリーズ!

メッチャ良かった…!ほんとに良かった…!

また一気に読んでしまいました。

3巻の最後、2人はどうなるの~!?で終わってほんとにお預けくらってたのでまた貪るように読んだ。

 

 

「過敏症」はもう蜜月(?)ですね。

久留米を意識する魚住と、魚住を意識してしまう久留米が…今までさんざん近くにいたのに、改めてお互いを意識してしまう2人…!

シリーズの中で一番甘い巻でした。

そして作中のありとあらゆるものが「過敏症」でした。

この巻で魚住の事を好きになってしまう男が登場します。魚住はモテモテだなあ。天然人タラシだからなあ。

彼の存在は魚住と久留米、お互いがお互いにとってどんな存在なのか考えさせてくれるキーマンなんですけど…まあいわゆる当て馬、とも言うんですけど…

しかも彼は魚住の事を好きになってしまって、そして久留米は彼に魚住の事を相談してしまうという謎の三角関係が発展します。

しかし私は当て馬キャラを好きになってしまうので可哀想と思いながら応援してました…世の当て馬キャラ、みんながんばれ…

あと久留米がズルい男すぎる。

でも飄々としてる久留米、めちゃくちゃ「攻め」って感じでめちゃイイんですよね…何にも感情がなさそうな魚住がそんな久留米に踊らされてる感じも……たまらないです。私も踊らされてる。

人のそういう…身体の関係も進むので大興奮でした。何回も噛み締めてしまった…

ああいう過去がある魚住が、久留米を受け入れているのがマジで…刺さる……

 

他にマリちゃんメインの話も入っています。

マリちゃんが深く掘り下げられててめっちゃ良かった〜!

前にサリームとの短編で出てきてた馨という子が再登場します。

「マスカラの距離」っていうタイトルもめちゃくちゃ秀逸ですね…。

マリちゃんを見てると、この世のあらゆる事なんてどうって事無いな〜っていう気持ちになるから不思議です。

そんなマリちゃんにもまた明るいだけでは無い過去があったり。

明るさには明るい分だけ強い影が出来ますね。

初恋は実らない、とは言いますが、好きという気持ちの前では、愛とか恋とか好きとか過去とか性別とか関係無くて、好きというシンプルにそれだけなんだよなって思います。

 

あと魚住が…成長してて……

あんなに氷の張ったような人間だった魚住が他人の事で悩んで精いっぱい考えてて…

シリーズを重ねて魚住が成長してる姿が、ふとした時に染みてめちゃくちゃ感動です。

 

 

「夏の子供」はシリーズ最終巻になってしまうんですが…これも良い巻でした。

魚住の後見人をしてくれているおじいちゃんとおばあちゃんが、夏の間、施設の元気な男の子をお家で預かることになって、魚住もそこに居候する事に。

同時に彼は過去の出来事のPDSDに苦しみ出してしまいます。

PDSDに悩む人間!大好物!

さちのちゃんとの過去と向き合う時が来てしまったんです…

とある場面で男の子が魚住に言った「心の病気も治るんだって」という台詞が、何かとても痛かったですね…

似たような境遇のお互いと過ごした所で変わるものはもしかしたら無かったのかもしれません、あったのかもしれません。

二人だけが共有する感覚みたいな物があって、いつか振り返った時に宝物になるような時間は貴重ですね。

似たような境遇の持ち主の男の子と魚住がひと夏をかけて打ち解けていく様子、めちゃくちゃ美しい光景…

 

魚住の留学話も出たりして、色んなことが起きます。

久留米と魚住も、せっかく思いが通じたばかりなのに引き離されちゃうピンチ!であまり良くない雰囲気だったりしたのですが…

二人の出した結論も、そうだよ世界、これだよ、シンプルイズベスト!でした。

久留米に依存しないで立ち直ろうとする魚住、それに口を出さない久留米、でもそこにあるのはお互いを大事に今後も生きていくための愛。

愛だなあ…世界……愛だよ……

 

そして収録されていたハッピーバースデイⅡ、めちゃくちゃに泣きました。

大事な人の死って本当にいつまで経っても埋められないですよね。薄まってはいくんですが。

何年経ってもどこに居ても、魚住と久留米は魚住と久留米のままであ〜(天を仰ぐ)ってした。

 

 

このシリーズはいろんな人が登場して、みんな誰かしらに自分を重ねる事が出来ると思います。

だからこそ沁みるのかもしれません。

魚住は、いろんな過去と決別して、いろんな人と出会って影響してされて、強くなったというよりも逆に脆くなったかもしれません。

でもそれは生きる強さだ!魚住!

最終巻は生と死が強く書かれていて、毎日ただ生きていると忘れがちですが、今日死んでいく人がいて、今日生まれてくる人がいて、今日も生きてる人がいて、世界は淡々と動いてる。

死んでしまった人を悲しむ心の闇を埋めるものが無いように、生まれてくる子の歓びを表現する最高の光を表現できるものもなくて。

人は人と関わってでしか生きていけないから、でも完全に他人を理解することは出来ないから、だからこそお互いを1人の人間として尊重して、わかり合おうとしたり理解しようとしたりしながら、この本に出てくる人たちのように、生きていけたらいいなと思います。

そうやって世界は回ってる!

 

 

また最高の、男と男、1人と1人の関係に出会ってしまいました。

ありがとう、魚住真澄。

君と世界を見る事ができて、良かったです。

 

 

「美少年探偵団 君だけに光かがやく暗黒星」

 

 

 
 
突然ですが戯言シリーズが、死ぬほど大好きです。
 
 
維新先生、他のシリーズは読んだことなくて、何か読みたいな〜と思って手を出した美少年シリーズ。
維新先生の中では新しめなシリーズですかね。
物語シリーズは1を持ってるんだけど見事に積んでますね…。
なんと言っても、このシリーズは絵師がキナコ先生…美麗なイラスト、眺めてるだけで幸せです……。
講談社タイガ(レーベル)、気になってたんですけど今まで1冊も読んだことなくて。
講談社ノベルスの兄弟レーベルなんですね。
全作シリーズものってコンセプトは面白いな〜と思いました。
創刊の時のチラシ見たらミチ先生の名前があったので、書くのかな…とちょっとそわそわしてます…創刊から結構時間経ってますが…。
 
 
それはさておき、美少年シリーズ。
主人公は中学生の女の子、瞳島眉美ちゃん。
彼女の通う指輪中学校には「美少年探偵団」という、なんだか怪しいクラブがあると噂されてます。
この美少年探偵団に、眉美ちゃんが解決してほしい案件を依頼する所からお話が始まります。
 
 
美少年探偵団、全部で5人居るんですけど、全員「美」少年です。
脚だったり、声だったり、食だったり、術だったり、学だったり。もちろん見た目も。
全員バラバラのキャラ、しかもそれぞれがめちゃくちゃキャラ立ってる、おい!みたいな欠点もある(ギャップ)、顔も良い男の子の集団、最高ですよね。
眉美ちゃんが女の子なので逆ハーレムモノになるんですけど、個人的に彼女がイラッとしないキャラだったのですごい楽しく読めました。
(女の子がイラッとする逆ハーレムモノは地獄の白目)
それこそ中高生あたりで読んでたらめちゃくちゃにハマっただろうな…と思います。
5人にも色々設定や過去がありそうなので、これからどんどん明かされていくんですかね…そこも楽しみです。
リーダーの双頭院くんは他のメンバーより年下というオタク大歓喜設定なんですが、みんな年下の彼に一目置いていてリーダーとしてちゃんと敬ってるというまたオタク大歓喜設定で、オタクは大歓喜しました。
 
 
 
話の内容はまあ王道と言えば王道で、美少年探偵団がエンジン全開に事件解決していく、という話です。
規模のデカい話で現実味は無いんですが(つまらないという意味ではない)、そこの中2感も流石で最高!って感じでした。
 
普通の探偵ものとは違うなあと思ったのが、リーダーの双頭院くんが「美学」を大事にしている所です。
なので彼の「美しいか」という美学に問題の解決の方向が掛かっています。
真実を全部暴いて解して並べて揃えて晒してやんよ、って方向じゃなく、美しいか、って所が大事なのがすごく良いな…と思います。
今まで解決のために全ページ費やしてきたのに、たった1行の、彼の「美しいか」で全てが決まるというか…
山場のあの…屋上のヘリの所の台詞が…すごく好きでした。
最後も今後の逆ハーレム展開が楽しみなラストで、楽しみですね!
本当に学生の時に読みたかった〜。
 
 
維新先生はやっぱり言葉遊びというか、文章が上手いです。
なんというか、映像化の出来ない、息継ぎのできない、文章で読むからこそ面白い、文章で読まなきゃ意味がない!って感じ。
挿絵も良い方向にいらなくて、言葉の力だなあ…ってうっとりして溜め息ついちゃいます。
あと適度に(過度かもしれない)中2なのが良いですよね。
でもそこが維新先生の良いところなので。
このシリーズも中2全開!みたいな設定の物語ですが、作品全体の雰囲気だけじゃなく、文章そのものが中2で極まってると思います。
作品の雰囲気はある程度操作出来ると思うんですが、文章が、文体がそれって、凄くないですか?
維新先生の、感情無いのにすごい勢いですごい刺してくるみたいな文章が、本当に好きです。
 
 
いま2巻の途中まで読んでるんですが、プロローグが「偉人」「その人の名言」「その名言に対しての色々」から始まるのもめちゃくちゃ良いです。
それは果たして美学なのか?みたいな。
ずっとこのプロローグなのかな〜楽しみ。
キナコ先生のイラストも好きすぎて、先に本屋で表紙と登場人物紹介だけ全部見てしまいました…。
登場人物紹介のイラストが毎回違うって何気にあんまりなくて豪華ですよね。
まあ挿絵無いですけど。
 
 
美少年探偵団団則、美しくあること、少年であること、探偵であること、そしてもう1つ。
 
 
早く続きも読みたいです。
戯言についても語りたいな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「きみが好きだった」

感想が追いつかない!
漫画の感想も書きたいけどなかなか…キーボードじゃないと厳しいですね…
魚住くんシリーズ、5は手に入ったのに4が手に入らなくて生殺しをくらっています…早く読みたいよ〜…
 

 

きみが好きだった (キャラ文庫)

きみが好きだった (キャラ文庫)

 

 

 
 
軽くネタバレしてます。
 
 
きみが好きだった、書店で平置きされていて気になって手に取りました。
凪良先生はめちゃくちゃ有名ですが、実はちゃんと読んだのは初めてで…パラパラ見てて作風は知ってたんですが…
凪良先生×宝井先生ってスーパータッグすぎない?
執筆先生×挿絵先生の組み合わせが「最強」すぎてウワ〜〜最高〜〜!!ってなること結構あるんですけど、商業BL小説嗜んでない方に言っても通じない、つまりほぼ通じないので、すんごいもどかしいです。この本もそんな1冊…
単行本で刊行されたものの文庫版です。
知らずに買いましたが。
 
 
主要の人物が3人いて、3人の関係の話です。いわゆる三角関係。
次々付き合う人が変わるモテる諏訪と、諏訪とはとこ関係で主人公の高良と、1つ先輩でヤンキーとウワサの、でも優しい真山。
諏訪くんと真山が付き合ってるんですけど、高良も真山に恋心を抱くようになって。
前半は高校時代の話、後半は成長して大人になってからの話で大きく分かれています。
 
 
前半は高良が付き合ってる2人を見る形で書かれてるんですけど、思春期の若くて苦くて愚かな、この世には願っても手に入らないものがあるっていう現実を突きつけられるような…まさに青春の1ページって感じです。
高校時代の想い出……どんなに好きでも手に入らない、しかもそれは同性の男で、「俺のほうが大切にしてあげれるのに」って思うんですけど、自分のエゴなんですよね…
相手にとっての「幸せ」は好きな人を好きでいれる事で、その好きな人は自分じゃなくて…若いですよね。爽やかで苦いです。
このちょっとでもラインからはみ出してしまったら崩れてしまう微妙で繊細な関係を崩したくないけど、ちょっとした事で一気に崩れてしまう学生特有の空気というか…
男子にもそういう空気があるのかわからないですけど、若いな〜!と思って笑顔になってしまいます。
 
 
後半は大人になって再会した3人のお話で、三角関係の矢印の向きが変わります。
大人になると色々なものを覚えてしまって、関係の形も1つじゃなくなって、関係に名前をつけるのも難しくなったりして。
敢えてつけたくないって事もあったりしますが。
メインは高良と真山の関係の話なんですが、私は諏訪くんを掘り下げてた所がとても良いな〜と思いました。
見えてないところに、色々を抱えていたりするんですよね、人は…
寂しい人な諏訪くんが、自分の気持ちと向き合ってて、良かったなあと思います。
 メインカプより派生カプ、主人公より当て馬キャラ好きになってしまうので、一気に諏訪くんに感情移入している。
 
学生の頃の3人、成長してからの3人、それぞれみんな抱えるものもあったし変わってしまったこともあって、でも変わらないものもあって。
過去の自分と、過去のそれぞれと向き合って、今の自分と今のそれぞれとまた生きていかなきゃいけなくて。
あの頃は色々あったよね、楽しかったよね、って言える相手と関係を続けていけるっていうのは、貴重な事だと思います。
変わっていきながらも、今日のこの日をまた「あの頃は若かったね」って言える日が来て、言える人が隣にいるという事は、幸せな事ですね。
 
 
個人的には、真山の高良に対してのLOVEの気持ちの部分をもうちょっと読みたかったな〜と思いました…!
あんなに諏訪くん好きだったのに、高良に行くの…!?と感じてしまった…
多分私の気持ちの勉強が足りないんだと思います。
エロも濃くないので、ほんとに教科書みたいだなあと思って読んでました。
BL小説の少女漫画というか…(?)
BLライトユーザーに貸せる1冊ですね。綺麗な教科書です。
 
 
気になるシリーズがまた増えたので、早く読み倒していきたい…と気持ちだけは思ってる今日この頃。
 

「夏の塩」「プラスチックとふたつのキス」「メッセージ」

軽くネタバレしてます。
 
宮廷神官物語を読んでる関係で榎田ユウリ先生ブームが急に来て、読みたいな〜と思ってた魚住くんシリーズ。有名なやつ。
榎田先生は別名義でガチの方のBLも書いてますね。
少し刊行年数が古いので、書店にナウであるかな…と不安だったんですが、行った書店の古本コーナーに〜3まで置いてあってすぐ買いました。
全部読んでからまとめて感想書こうかと思ったんですが間があきそうなので。
 
 
元々はBLレーベルから出てたシリーズ。
角川の普通のレーベルで刊行し直してるので、ふんわりなのかな…と思ってたんですけど、読んだら結構がっつり男と男の関係!でした。
男と男、1人と1人の関係の物語が大好き。
夏の塩を読んで、あ〜〜もうコレは好き〜と思いながら3冊ノンストップで読んでしまいました…。
 
魚住のちょっとイっちゃってて誰よりも孤独で、壮絶な過去があって、麗しい容姿を持ってて、そのアンバランスさのバランスが絶妙です。
彼は私達が考える500倍くらい物凄い過去を背負ってるんですけど、それが悲しいという事なのか、寂しいという事なのか、幸せとは何なのかわからず、でもそれが彼の中の普通で生きてるんですよね。
自分の過去を嘆いたり、それを理由に腐ったりしないんですけど、だからこそ何も感じてなくて自分の心の上に氷が張ってあって、その上を滑って生きているというか。
その氷を、ちょっとずつ割っていくみたいなシリーズです。
溶かすだと優しすぎる、溶かして割る!って感じです。
 
その魚住が唯一心の底の無意識のところで頼ってる存在…が久留米なんですけど、めちゃくちゃガサツで酒も好きでタバコも吸ってて、でも実は優しいフツーのサラリーマン。
この久留米が、久留米だからこそ、久留米じゃないと、魚住に引きずられず且つむしろ包むくらいの精神で魚住と付き合っていけないんだろうな…と感じさせる、魚住にとって唯一の人間なんですよね…
ですよねっていうか私が感じただけなんですけど…
ふたりとも、世間一般の性善説を基にして判断すると「普通」の枠ではない、って感じの人間なんですが(魚住は普通じゃないけど)、でもその2人のバランスが絶妙〜です。
自分の気持ちが、他人の気持ちがよくわからない魚住が、久留米に対する気持ちがLOVEの方の好きだと気付いてしまうのは本当に美しい。
 
 
2人の関係はただの大学の同級生、ってとこから始まるんですけど、少しずつ変化していくたび、ウオ〜〜!と思わず悶えました。
お互い、相手に対しての感情にちょっとずつ気付いていくんですけど…魚住の方がちょっとませてたのがまた良くて…
久留米も心の底では気付いてるんですけど…自覚して決意するまでと、もう本能には逆らえない感じが繊細で本当にときめきました。春…。
夏の塩(1巻)で、魚住の味覚障害が治った瞬間がもうマジでサイコーで、夏の塩っていうタイトルは天才です。
すごい…エロい……(語彙力〜!)
 
 
恋愛面はキュンキュン路線なんですけど、本筋の方は中々テーマが重くて、そのギャップもまた読み応えあって良いです。
魚住の味覚障害とEDから始まり、過去のいろいろと向き合ったり、自分の弱さと向き合ったり、そしてその1つひとつからでてくる魚住のエピソードが本当に重い。
魚住の過去…では無いんですけど、そしてシリーズを読んできた方は全員衝撃だったと思うんですけど、メッセージ(3巻)は衝撃且つ重すぎて…ちょっと泣きました。
久留米があの…あれを…握りしめるシーンとかこの世の全員泣いたと思います…。
しかし、最後はもう…ワア〜〜!!となります。
メッセージは、魚住も久留米も2人の関係もすごく変化する巻でとっても良かった。感情が忙しい。
人が精神的にも肉体的にもボロボロになって弱ってる姿が描写されてるの、本当に好き。
でも魚住には心配して、手を差し伸べてくれる人達がいて幸せだなと思います。
その幸せに気づいてくれるといいな。
 
 
 
このシリーズは2人の関係もそうなんですが、出てくる人間全員がとっても魅力的です。脇役…とはとても言えない強烈な方々。
メインは男と男の関係なんですけど、性別の垣根を超えたヒューマンドラマな面も大きいですね。
そこがBLという括りを跨げる理由かなと思います。
しかも、最初は全員何だコイツ…みたいな人たちなのに気づいたら全員好きになっててすごい。
BLにおいて、出てくる女の子に嫌悪感を抱くか抱かないかはめちゃくちゃ重要なんですけど、このシリーズの女の子はみんな好きなのでハッピーです。
人間って、みんな表には出さないけど色々なものを背負って生きてるんですよね。
他人から見たら羨ましいと思う事も、蓋を開けてみたら自分には手に負えないくらい悲しいことが絡んでたり。
本人は笑ってるけどその裏でとても苦しい思いや経験をしてたり。
価値観や考え方が違う中で関係を繋いで、保っていける人達は貴重だなぁと思いますし、繋がりを保ってくれる人達には感謝して生きねばなと思います。
自分だけがツラいというのは、正解でもあり不正解でもあり。
自分の価値観は自分にしか通じない基準 なわけで、他人の価値観をいかに受け入れ…というか、尊重して付き合えるかは、生きていく上で重要なことだと思います。 
このシリーズの人達は、みんな色々を抱えて経験してるからこそ、それが出来てるような気がして読んでて心地良いなあと思います。
魚住が優しい友人たちに囲まれて、ちょっとずつ前に進んでいく話。
恋という感情から、他人の想いと、自分の想いと向きあう話。
悲しくて寂しくてでも暖かくて優しくて、こたつで食べるアイス、みたいなシリーズです。
 
 
早く次の巻を手に入れないと干からびて死んでしまう…。
超どうでもいいですが某バレー漫画の敵チームの金髪とクロ、の容姿イメージで読んでました。勝手に。
挿絵がないやつは自分の好きなビジュアルで楽しめて良いですよね。
次巻に続く。