いろいろ

読んだ本の感想とか。男と男の膨大感情が好き。

「清澗寺家シリーズ」

暑すぎる…五月なのに…しんでしまう……

 

今までいろいろBL小説を読んできたのですが、最近清澗寺家シリーズの存在を知りました。

そして、今までどうして知らなかったのか…と本当に驚きました。

とっっっっても面白くて…。

シリーズ全巻13冊、2週間程で一気読みしてしまいました。

もう本当にさいこうで…最高でした…。

なので感想を記そうと思います。

 

 

清澗寺家シリーズは和泉桂先生の著で、完結済のシリーズです。

大正~昭和初期を舞台に第一部8冊、第2部5冊の計13冊。

清澗寺家という華族の一族のお話です。

ドラマCDも出ていて、このドラマCDのキャスティングがまた「覇権」って感じで最高です。

 

 

まずボリューム!

リンクスロマンスから発行されているんですが、どの巻も新書サイズ2段組み250p越えでボリュームが満点です。

読み応えがすごい。これだけでまずテンションが上がります。

新書サイズ2段組み小説、大好き。

 

そして時代設定。

大正~昭和初期の、濃厚な日本が舞台で…

華族とか子爵とか、そういうのが好きな私にはたまらなかったです。

この頃の混沌とした日本が本当に好きなので…。

清澗寺家シリーズは冊数と共に時代も一緒に進んでいくので、2週間で大正~昭和初期を駆け抜けました。

 

 

どのカップリングも本当に全部好きだったのですが、やっぱり特に和貴×深沢と伏見×冬貴はすごかった…すごかったですね…。

こんな関係言葉にできるんだ…と、本当に感動しました…。

情事シーンも濃厚で、というか全体的にずっとエロいです。

ハッピー!ラブラブ!ではないので、明るいのが好きな方にはあまりハマらないかもしれませんが、暗くてドロドロしてて、退廃的なのが好きな方にはたまらないと思います。

本当に大河ドラマです。

 

 

以下は発刊順に並んでいます。

個人的には発刊順に1から順番に読むのをおすすめします。

 

 

 

 1巻、真面目で穏やかな使用人・遼一郎×清澗寺家長男・国貴。

国貴は長男で、エリート軍人でもあります。

2人は小さい頃から身分がありながらも仲良く遊んだりしていたのですが、ある事故で引き離されてしまって。

忠誠心と恋心の狭間、埋められない身分、お互いの立場、行き場のない気持ち、そして駆け落ち…

全部大好きな単語で構成されている一冊…

プライドと長男という立場から逃れられない国貴と、それを包み込むような遼一郎…。

優秀で美麗な華族の軍人の唯一の弱みが愛した男なの、たまらなくないですか?

真面目だったのに思い切った大胆なことする長男、「わかり」でした。

真面目な長男ってそういうとこあるよね。(そうなの?)

 

 

 2巻、温厚(…)な秘書の深沢×清澗寺家次男・和貴。

この二人はほんと~~にすごいです。

支配と被支配の究極と真髄を、見れます…。

特に和貴は、脆くて儚くて繊細で、ギリギリの均衡でこの世に繋ぎ止められている、美しくてものすごい存在で…。

ただの淫乱じゃん…って思う方も居ると思うんですが、私はそうは思わなかったです。

深沢君に支配されることによってこの世に繋ぎ止められていて、それをプライドは許さなくて否定しながらも受け入れて喜んでいて、でも愛されると今度は嫌われてしまう事が怖くなって、愛されても愛されても足りない、寂しい存在なんですよね…。

深沢君もそんな和貴を愛していて…愛すと愛されるが歪んでいる2人……

でもそんな二人が支配と被支配で成り立ってこの世で生きようとするのが、とっても美しいです。

 

 

3巻、 貴族のクラウディオ×清澗寺家三男・道貴。

作者さんも言っていたのですが、このシリーズの「陽」カップルです。

クラウディオは清澗寺家に恨みというか…因縁があるんですけど…一族と一族の因縁…それを乗り越えた愛…です。

冒頭のダンスシーン、おとぎ話の王子と姫か?って感じでした。

道貴くんは明るくてでも頭もよくてちゃんと考えてて、ほんとうに良い子だな~!

基本的には明るいというか平和(平和?)な二人でほっこりします。

クラウディオのキャスティングが諏…部なのを見てから、彼のセリフが諏…部でしか再生されなくて面白くて大変だった。

諏…部の横文字はわかる…でしかない。

 

 

4巻、政界の裏で活躍する、冬貴に魅入られた伏見× 清澗寺家当主・冬貴。

この二人もほんと~~~に……すごい…

冬貴は当主のくせにとにかく淫乱で、男女誰彼かまわず寝る男で、口数も少なくて何を考えているのかわからない絶世の魔性の美貌男です。

伏見はそんな冬貴に出会って、魅入って魅入られてしまって、冬貴に翻弄されて、でも切ることは無くずっとずっと……

冬貴がまた…言葉にしないけど伏見の事を想ってるのが本当に良くて…

冬貴にとって唯一「あたたかい」存在の伏見…

微妙で、微妙で繊細すぎる関係で、冬貴が誰彼かまわず寝るのとか、伏見の1人で考えすぎて苦悩する所とか、ダメな人も多いと思うんですが、理解できる脳みそで本当に良かったと感謝しました。

 

 

 5巻、陸軍軍人の浅野×妓楼を経営する天佑。

浅野は1巻で登場して、国貴を追う存在の軍人です。

一方天佑は何か秘密がありそうな、強気で美人な、ちゃんと男として美しい男。

上海が舞台で、中華が舞台な苛烈な男と男!が好きな人にはたまらないな~と思います。

全部言葉にすることが美しい訳ではない、というか…

言葉にしなくても目と目で語り合う関係というか…

男と男、ですね…

番外編的な内容なので、読み飛ばしてもまあ問題ないかな?と思います。

 

 

 6巻&7巻、上下で一部の完結編。

上では和貴と深沢、伏見と冬貴が読めます。

和貴と深沢の…海辺の…シーンが…お互いに生きる理由を見つける男と男…最高。

あとプレイがすごい…いつも濃厚なのが見れます。

伏見と冬貴も、冬貴の賢い所が見れて最高です。

伏見が駆け付けたシーンの冬貴、さぞ凄絶な美しさだったんだろうな…

後この二人、キャストが遊佐×神谷なんですけど、調べれば調べるほど「とにかくエロすぎてヤバい」という感想しか出てこなくてすごい。

 

下は国貴×遼一郎とクラウディオ×道貴が見れます。

国貴くん…本当に良かった…(泣)になった。

愛を取って一生追いかけられる立場になるの、幸せだけど消耗するんだろうなあ…

この二人は本当に…一途で不憫です…でも代償なんだよね、2人で居る事への…

道貴くんもいろいろと悩みながら、日本人という人種の差に苦悩しながら成長している姿が見られて、涙です。

戦争で自国が敵になるかもしれないとわかっても、愛する人と外の国で生きる覚悟をしたんだなあ…

国貴をずっと探して…本当にまっすぐでいい子だ…

4カップルみんな見れて、満足感がすごいです。

 

 

 8巻、美貌の医師の貴将×君主の暁成。

清澗寺家のルーツのお話。

番外編なので飛ばしても大丈夫です。

個人的に平安が好きなので、それだけで楽しかった…

清澗寺の呪いというか、一族の謎というか、根底の部分を知れます。

 

 

 

9巻&10巻、時代が和貴の養子の2人にうつります。

双子の弘貴と泰貴、それぞれ闇市で活躍する曽我×弘貴と、家庭教師の帝大生藤代×泰貴。

2つのカップリングが同時進行するので、読み足りなかった感もありますが…

和貴とかも出てくるので、みんなの様子もわかって楽しいです。

弘貴は、もう家を終わらせたいと願っている和貴が己の「こうなってはいけない」という戒めをもとに、理想を存分に反映させてしまった存在で…なのに皮肉にも、とても清澗寺に育ってしまって…

イイ子な弘貴くんと曽我の2人はこの一族の中でも珍しくめちゃくちゃぴゅあぴゅあカップルかなと思います。

ていうか他が濃すぎるんだわ…

泰貴は清澗寺で育たなかった子で、スれてて自分を何でもできると思い込んでいる子供で、見ててちょっと恥ずかしくなっちゃうような生意気な子です。

藤城くんに教育(意味深)されていくんですが。

この二人も雰囲気は調教っぽいけど、めっちゃピュアな2人だな~と思います。

和貴の子育ても垣間見れます。

 

 

 11巻、ロシアの血を引く黒田親子×和貴の養子、清澗寺家長男・貴郁。

これだけでも読める!って書かれているけど、私は順番に読んじゃったのでこれだけで読めるか…?になってしまった…。

貴郁くんは一人だけ養子なんですけど、上2冊では詳しく語られず謎な存在だったのでこの巻で色々判明してほお~となりました。

和貴は本当に罪な男なんですよね…。

貴郁はメンタル的な部分ではとっても和貴に似てるんじゃないでしょうか。

血という意味では双子より清澗寺が濃いってことですもんね…。

彼なりに幸せな場所を見つけて良かったと思います。

私、親子とか3pあんまり得意じゃないんだど、何とか読めました!

といか圧倒的文章力で読ませてくれました。

 

 

 12巻&13巻、最終巻。

一部で出てきたみんなのその後が読めます。

まず表紙が美しすぎる…そして下の口絵が好きすぎる…。

特に和貴編がね、エロすぎてびっくりしてしまいますね。

本を読み始める時、なんとなくパラパラ見ておいてどんな内容か確認しておくんですけど、我慢できなくて先を読んでしまいました。

強い(強がってる)男が、死にそうに消耗してしまうの大好きなので……

時代が進んで、国貴とかも本当に……本当に良かった……

もう本当に大河ドラマで…

ここまで読んできて満足しかない…終わってほしくない…と泣きながら読みました…

 

 

本当に本当に読ませてくれるシリーズで、時代、雰囲気、作風、全部全部マッチして、本当に素晴らしかったです…

どうして今まで出会わなかった…?と同時に、出会って…しまった…という気持ち…

一冊読むごとに男と男・膨大感情偏差値が1億くらいずつ上がっていって、最終的に13億上がりましたからね。

本当に出会えてよかったです!